倉光隆士 創造故事

物事の捉え方を変える為の処方箋

「何だか怖い」・・・。

 

それから学校で役員決めをするイベントがあったのだが、

 

「自分にいつまで至福の時間を謳歌出来るのか分からない。」

 

という思いもあったので、

 

心の中の声は、

 

「役員になるように自分で手を挙げなさい。」

 

と言っている声も無視していた。

 

自分の中にいる「心の声」は引っ切り無しに

 

「手を挙げなさい」

 

「手を挙げなさい」

 

と、ずっと自分に訴えかけてくる。

 

1週間近く「心の声」は暇があったら

 

「手を挙げなさい」

 

「手を挙げなさい」

 

と語り掛けてくるので、

 

自分は自分の中にいる「心の声」に折れて「役員になります」と手を挙げた。

 

体調面でも14才という年齢だから当たり前ではあるが、

 

今の至福の環境が続く限り、

 

風邪を引いたとしても大きな病気になる事はないという実感もあった。

 

許可を出して2か月程経つと段々不安が自分を襲うようになってきた。

 

「本当に14才という若さで至福の環境を味わっていて良いの?」

 

「自分の人生後になってから至福の環境を味わったツケが回ってくる事になったら、これからの自分の人生は悲惨な生活をして行く事にならないだろうか?」

 

と、自分で考えがよぎる位に至福の時間を送っているので、

 

不安は日を追うごとに膨らんでいった。

 

不安が自分を襲うようになって2週間経つと、

 

「もうこの生活を続けるのは怖いから元の生活に戻りたい・・・。」

 

と考えるようになった・・・。

 

そして塾に行って帰る前に職員室を覗きに行ったら先生が出勤していた。

 

「先生、相談があるんですけど・・・。」

 

と、自分は先生に今の至福な環境を解除出来る方法を聞きに行った。

 

先生に経緯を話すと、

 

「何で?」

 

「何でやめてしまうの?」

 

と、とても残念という面持ちで対応してくれた。

 

「このままの状態を続ける事が出来たなら、君は神様としての役割を果たせるようになるのに・・・。」

 

「今君が順調に進んでいる至福の環境を手放したら、他の誰かが君に与えるはずだった神様の役割を受け継ぐようになるんだよ!!」

 

「どうしても今の生活を続ける事は出来ないの!!」

 

と、先生はかなりのショックを受けながらも自分の相談に乗ってくれているのが分かった・・・。

 

先生は暫く沈黙したままだった・・・。

 

 

「しょうがないかぁ・・・。」

 

「怖いって感情が芽生えているんだから、恐らくこのまま過ごしたら、怖いって感情はますます大きくなっていくばかりだろうから・・・。」

 

と、先生の顔を見ると絶望している表情だった・・・。

 

自分は、

 

「ごめんなさい」

 

としか先生に伝える事しか出来なかった。

 

「じゃあ、今の生活を解除する方法を教えるね・・・。」

 

「だけど一旦解除したら、今まで幸せだった分不幸な出来事が起こる事になるからね・・・。」

 

「本当に解除・・・。」

 

「じゃあ解除の方法を教えるね。」

 

「何でも良いから欲望を作って、欲望が叶うように強く願うの。」

 

と、先生は解除方法を教えてくれた。

 

「先生、特にコレがしたいって欲望が無いんですけど・・・。」

 

と、自分は先生に話した。

 

「そうだろうね。」

 

「許可も出した後だから欲望そのものは持っていないからね・・・。」

 

「嘘でも良いから何か欲望を声に出してみて・・・。」

 

「多分君には分かると思うけど、色んなワークをしてきて空気が徐々に軽くなったかと思うけど、欲望を持つ事で昔のように空気が重くなってくるし、頭の中にどんどん思考が浮かんで来る生活に戻ってしまうよ。」

 

と先生は捕捉説明してくれた。

 

相談してから1日経って、

 

「元の生活に戻りたい!!」

 

と強く願うと、

 

「ジワ~ッ」と空気が重くなって行くのを感じた。

 

「あぁ、次第に空気が重くなって行くんだろうなぁ・・・。」

 

「空気が重くなったら、災難も避けられなくなるんだろうなぁ・・・。」

 

「でも仕方ないよね・・・。」

 

「至福な環境の生活が続くと怖くなってくるんだから・・・。」

 

と、自分は元の生活に戻って恐怖が去る事への安堵と、

 

これから自分に降りかかる不幸を体験しなければいけない不安と、

 

相反する気持ちが自分の心を包んでいた。

 

それからの生活というのは、

 

勉強に対する意欲も半年程経つと無くなってしまい、

 

勉強そのものが億劫な物に変わってしまった。

 

高校時代は本当に勉強には手を付ける事をしなかった・・・。

 

勉強もしないで遊んでばかりだった。

 

そして何とかそんな自分でも受け入れてくれる大学に入学して、

 

20才を迎える1か月前に尾葉さんと出会う事になる・・・。